さぁ、今日も暗号の時間がやってきました(笑)
今回は、「鍵の配送問題」を克服した理想の暗号について解説しますね。





「鍵の配送問題」を解決するために、暗号化するための鍵と、暗号を元に戻すための鍵が別である暗号が開発された。
その名を「公開鍵暗号」と呼び、暗号化する鍵は自分以外にも広く公開するので「公開鍵」と呼ばれ、暗号を元に戻す鍵は自分しか知らないため「秘密鍵」と呼ぶ。

弱点を克服した「理想の暗号」

まずは、「理想の暗号」をイメージできるように例え話をしましょう。

頭の中に、小さな金庫を想像してみてください。開くためのダイアル付の、黒い、手のひらサイズの金庫です。
この金庫は特殊な作りになっていて、中にモノを入れて金庫を閉めるときの番号と、金庫を開けるときの番号が違います

例えば、金庫を閉める時は「12345」という番号を使うのですが、開ける時は「98765」という番号じゃないと開けれないという特殊な作りなのです。


この金庫を友達に渡して、自分宛の手紙を入れてもらうことを想像してみてください。
もちろん、友達には金庫を閉めるときに使う「12345」という番号も教えておきます。

万が一、友達が「12345」という番号を他の人に漏らしてしまっても、一度「12345」という番号で閉めた金庫は誰も開けることができません。
だって、開ける時は「12345」じゃなくて、「98765」という番号が必要なのですが、その番号を誰にも教えていないからです。

こんな金庫を使うと、友達から安全に手紙をもらうことができます。

「98765」という鍵を友達に渡す必要がないので、「鍵の配送問題」がそもそも発生しません。

「相手に教える鍵」と「自分だけが秘密にしておく鍵」の2種類の鍵があることが、この金庫の特徴です。

「理想の暗号」に名前をつけよう

先ほど紹介した特殊な金庫のイメージを、そのまま暗号に応用してみましょう。


先ほどの例で、「金庫を閉める」ことは「暗号化する」ということに対応します。
先ほどの例で、「金庫を開ける」ことは「暗号を解読する」ということに対応します。


ここで、この暗号に使う鍵に名前を付けておきましょう。

みんなに教えてもいい「暗号に使う鍵(金庫を閉める鍵)」を「公開鍵(こうかいキー)」と呼びます。(みんなに教えるから「公開」ですね)
秘密にしておかなければいけない「暗号を解読する鍵(金庫を開ける鍵)」を「秘密鍵(ひみつキー)」と呼びます。(秘密にしなければいけないから、そのまんまですね)

そして、この理想の暗号を「公開鍵暗号」と呼びます。(暗号に使う鍵を公開するからこういう呼び名なんですね)


次回のお知らせ

でも、そんな理想的な暗号って本当に実現できるのでしょうか?
想像するだけで、実物がないなら絵に描いた餅ですよね。。。。

いやいや、あるんです。数学のチカラを使えばできるんですよ。次回からは、そのことをじっくり解説していきますね。

次回からは数学のお話が登場しますが、独極のコンセプトはゼロから専門的な内容を理解しようです。

必ず、理解いただけるよう、丁寧に解説していきますので、お付き合いください。