独極・QRコード担当の「あじな」です。
前回は3行3列の「行列」の「行列式」について計算方法を見ましたが、今回はどんな大きさの「行列」の「行列式」でも計算できるようにしましょう。
まず、対象の「行列」の列に注目します。
1列目、2列目、3列目、・・・・、n列目からそれぞれ好きな行の数字を選択します。(但し、他の列と同じ行は選択できません)
選択した「行番号」を1列目から並べて書き(\(a_{1}\)行、\(a_{2}\)行、\(a_{3}\)行、・・・・\(a_{n}\)行)、それが基本形(1,2,3,・・・,n)を何回「置換」すればできるか計算し、「遇置換」か「奇置換」かを判別します
選択したn個の数字をすべて「掛け算」し、「遇置換」なら「+」を、「奇置換」なら「-」を「掛け算」した結果にくっつけます。
1列目、2列目、3列目、・・・、n列目の選択をやり直し、上の計算を実施する、ということを全てのパターンを選択するまで繰り返します。
(全部で、\(n \times (n-1) \times (n-2) \times \cdots \times 3 \times 2 \times 1\)個のパターンがあります)
最後に、計算した数字をすべて「足し合わせる」と、それがその行列の「行列式」になります。
うーーん。複雑ですね。すべてのパターンを選ぶのは難しそうですね。
例えば、10行10列の「行列」の場合、パターンの数は「\(10 \times 9 \times 8 \times 7 \times 6 \times 5 \times 4 \times 3 \times 2 \times 1 = 3,628,800\)」となり、約363万通りのパターンを計算する必要があります。
現実的なことを言えば、こんなの、手作業で計算するなんて無理ですよね。普通は、コンピュータに計算させます。
$$ \begin{vmatrix} a_{1,1} & a_{1,2} & \cdots & a_{1,n} \\ a_{2,1} & a_{2,2} & \cdots & a_{2,n} \\ \vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\ a_{n,1} & a_{n,2} & \cdots & a_{n,n} \\ \end{vmatrix} $$ 普通の「行列」と同じ??・・いやいやよく見てください。これまで「()」で囲っていたのが、「行列式」になると「| |」で囲っています。
「( )」で囲ったら「行列」で、「| |」で囲ったら「行列式」になるのです。
ちなみに、上の「行列式」に現れた\(a_{x,y}\)というのは、「x行、y列の要素」を表しています。
さぁ、次回からは今回マスターした「行列式」の特徴についてじっくりみていきましょう。
前回は3行3列の「行列」の「行列式」について計算方法を見ましたが、今回はどんな大きさの「行列」の「行列式」でも計算できるようにしましょう。
これまでの復習 [表示する]
- QRコードは株式会社デンソーが作ったもので、スマホや携帯で読み取れる
- QRコードは「小さな白と黒の四角でできている」「多少汚れても大丈夫」という特徴がある
- 白黒の四角を使うのは、コンピュータにわかりやすくさせるため
- QRコードは「機能パターン」と「符号化領域」で出来上がっている
- 「機能パターン」は、「クワイエットゾーン」「位置検出パターン」「位置検出パターンの分離パターン」「タイミングパターン」「位置合わせパターン」の5種類
- 「符号化領域」は「形式情報」「型番情報」「データ領域」の3種類
- 「形式情報」は「エラー訂正レベル」と「マスクパターン参照子」で決まり、「\(4 \times 8=32\)」種類のパターンがある
- 「型番情報」は「QRコードのバージョンによって決まり、40種類ある
- 「データ領域」は「データ」と「エラー訂正情報」で出来上がる
- QRコードはバージョンが1〜40まである。一辺の大きさは、「QRコードのバージョン(1〜40)\( \times \)4\( + \)17」
- 「エラー訂正レベル」は「L(7%の汚れまで)」「M(15%の汚れまで)」「Q(25%の汚れまで)」「H(30%の汚れまで)」の4種類ある。
- 「エラー訂正レベル」が「L」だと「QRコード」で表現できるデータの量は最大で、「H」のときに最小になる。
- 「1bit」とは白・黒、1・0のような2種類の情報を表すことができる能力のことで、文字を増やすと「2bit(4種類)」「3bit(8種類)」と表現できる種類が増える
- 日常の言葉を「エンコード」して「コード(符号)」に置き換え、「コード(符号)」を「デコード」して日常の言葉に戻す
- QRコードの「エンコード」方式は「数字モード」「英数字モード」「漢字モード」「8bitモード」の4種類
- どの「エンコード」方式でも、データは「モード指示子」+「文字数指示子」+「データ」+「終端パターン」+「埋め草ビット」+「埋め草ワード」となる
- QRコードには「白」と「黒」を読み間違えても、元の情報を復元する「エラー訂正」能力が備わっている
- 「エラー訂正」は読み取れた(聞き取れた)言葉から最も近い「ありえそうな単語」を推測すること
- 「エラー訂正力が強い」ということは、「あえて使っていない単語が多い」ということと同じで、効率性は悪い
- 1,0でできている符号では「ハミング距離(2つの符号間で1と0が異なる箇所の個数)」があり、符号間で最も「ハミング距離」が小さいものを「最小距離」と呼ぶ
- 使える「単語」を制限すると「最小距離」は大きくなる
- 「最小距離」の半分までのエラーであれば訂正することができる
- 「単語」を「符号化」したものに、適当な「1」や「0」を後ろにつけると「最小距離」が大きい「エラー訂正機能付符号」になる
- 「エラー訂正機能付符号」を作る際は「符号」に「行列(生成行列)」を掛け算する。
- 「QRコード」は「リード・ソロモン符号」と呼ばれる方法で「エラー訂正機能付符号」を作る
- 「行列」は数字を並べただけのもので、もともとは「連立方程式」の係数だけ抜き取ってならべたもの
- 「行列」の「足し算」「引き算」は各「行列」の要素同士を「足し算」「引き算」したもの
- 「行列」の「掛け算」は、左の「行列」から「行」を取り出し、右の「行列」から「列」を取り出して、それぞれの要素を掛け算して足し合わせる
- 左の「行列」の大きさが「a行b列」で、右の「行列」の大きさが「b行c列」だった時、「掛け算」結果の行列は「a行c列」になる
- 「行列」の「掛け算」は順番を変えると結果も変わる
- 「掛け算」しても結果を変えない行列を「単位行列」と呼び、「掛け算」すると結果が「単位行列」になる行列を「逆行列」と呼ぶ
- 「行列」の特徴を表している「数字」を「行列式」と呼ぶ。「行列式」は「正方行列」だけが持っている
- 「並び替え」は「置換」によってい表すことができ、偶数回の「置換」でできる「並び替え」を「遇置換」、奇数回の「置換」でできる「並び替え」を「奇置換」という
「行列式」の具体的な計算
n行n列の「行列」の「行列式」も、前回解説した3行3列の「行列」の「行列式」の計算方法と基本的には同じです。まず、対象の「行列」の列に注目します。
1列目、2列目、3列目、・・・・、n列目からそれぞれ好きな行の数字を選択します。(但し、他の列と同じ行は選択できません)
選択した「行番号」を1列目から並べて書き(\(a_{1}\)行、\(a_{2}\)行、\(a_{3}\)行、・・・・\(a_{n}\)行)、それが基本形(1,2,3,・・・,n)を何回「置換」すればできるか計算し、「遇置換」か「奇置換」かを判別します
選択したn個の数字をすべて「掛け算」し、「遇置換」なら「+」を、「奇置換」なら「-」を「掛け算」した結果にくっつけます。
1列目、2列目、3列目、・・・、n列目の選択をやり直し、上の計算を実施する、ということを全てのパターンを選択するまで繰り返します。
(全部で、\(n \times (n-1) \times (n-2) \times \cdots \times 3 \times 2 \times 1\)個のパターンがあります)
最後に、計算した数字をすべて「足し合わせる」と、それがその行列の「行列式」になります。
うーーん。複雑ですね。すべてのパターンを選ぶのは難しそうですね。
例えば、10行10列の「行列」の場合、パターンの数は「\(10 \times 9 \times 8 \times 7 \times 6 \times 5 \times 4 \times 3 \times 2 \times 1 = 3,628,800\)」となり、約363万通りのパターンを計算する必要があります。
現実的なことを言えば、こんなの、手作業で計算するなんて無理ですよね。普通は、コンピュータに計算させます。
「行列式」の表現方法
「行列式」を表すときは、普通の「行列」と区別するために、次のように書きます。$$ \begin{vmatrix} a_{1,1} & a_{1,2} & \cdots & a_{1,n} \\ a_{2,1} & a_{2,2} & \cdots & a_{2,n} \\ \vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\ a_{n,1} & a_{n,2} & \cdots & a_{n,n} \\ \end{vmatrix} $$ 普通の「行列」と同じ??・・いやいやよく見てください。これまで「()」で囲っていたのが、「行列式」になると「| |」で囲っています。
「( )」で囲ったら「行列」で、「| |」で囲ったら「行列式」になるのです。
ちなみに、上の「行列式」に現れた\(a_{x,y}\)というのは、「x行、y列の要素」を表しています。
さぁ、次回からは今回マスターした「行列式」の特徴についてじっくりみていきましょう。