独極・QRコード担当の「あじな」です。
ずーーと「行列式」の特徴についての話が続いたのですが、大丈夫でしょうか?
一応、忘れられないうちに行っておくと、「QRコードのお話」ですからね。
いまさら、そんな悲しいこと言うなよ・・・、という声が聞こえてきますが、安心してください。ちゃんと立派な意味があるんです!!
そこで、今回は、「行列式」と「連立方程式」の関係について解説しますね。
そもそも、中学校のころに習った「連立方程式」って覚えています?こんなやつです。
$$ \begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x + y = 10 \\ 2x + 4y = 32 \end{array} \right. \end{eqnarray} $$ ほろ苦い思い出とともに思い出しましたでしょうか?連立方程式の雰囲気とあわせて、方程式中にでてくる「\(x\)」や「\(y\)」のことを「未知数」と呼ぶことも思い出してください。
次に、この「連立方程式」の解き方(未知数「\(x\)」や「\(y\)」の値を求めること)を見ていきましょう。
例えば、「\( 6x + 5 = x + 10 \)」という方程式があった場合、右辺の「\(x\)」を左辺に移項し、左辺の「\(5\)」を右辺に移項すると、「\(6x - x = 10 -5\)」となり、これはつまり、「\(5x = 5\)」ということなので、「\(x=1\)」ということがわかります。
このように、「未知数が1つ」の場合は「連立方程式が1つ」あれば未知数を求めることができます。
例えば、次の方程式を見てください。
$$ \begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x + y = 10 \\ 2x + 4y = 32 \end{array} \right. \end{eqnarray} $$ この方程式を解くには、1つ目の「連立方程式」の「\(y\)」を左辺に移項させて、「\(x=10-y\)」という形に持っていきます。
そして、2つ目の「連立方程式」の「\(x\)」に先ほどの「\(x=10-y\)」を代入すると、2つ目の方程式から「\(x\)」が消えて、「\(20 - 2y + 4y = 32\)」となります。
「\(20 - 2y + 4y = 32\)」は未知数が「\(y\)」の一つだけなので、「\(y\)」の値がわかります。(この場合、「\(y=6\)」ですね)
最後に、「\(y\)」の値を「\(x + y = 10\)」に代入してやれば、この方程式は未知数が「\(x\)」だけになって、これも、先ほどの解説の通り解けば「\(x\)」の値がわかり、めでたく解けることができます。(この場合、「\(x=4\)」ですね)
つまり、「未知数が2」つの場合、2つの「連立方程式」が必要なのでした。
そう。未知数を求める場合、未知数の数と連立方程式の数は同じである必要があります。
なぜなら、未知数が2つの場合で見たように、1つの方程式を使って1つの変数を「消す」ことで最後の方程式の未知数を1つだけにする必要があるからです。
もし、未知数が5個あるのに、方程式が3つしかない場合、どんなに工夫しても1つの式の中に3つの未知数が残ってしまい、未知数の値を決めることができません。
(例えば、「\(x + y + z = 10\)」という方程式があった場合、「\(x=2,y=3,z=5\)」の場合もあれば、「\(x=4,y=4,z=2\)」の場合も考えられ(他にももっと考えられます)、答えが決まりません)
このように、未知数の数に方程式が足りない問題を「不良設定問題」と呼びます。
ふむふむ。えっ!?一体、いつ「行列式」の話がでてくるんだって?
忘れてました・・・。てへ。・・・ということで、次回に続きます!
ずーーと「行列式」の特徴についての話が続いたのですが、大丈夫でしょうか?
一応、忘れられないうちに行っておくと、「QRコードのお話」ですからね。
これまでの復習 [表示する]
- QRコードは株式会社デンソーが作ったもので、スマホや携帯で読み取れる
- QRコードは「小さな白と黒の四角でできている」「多少汚れても大丈夫」という特徴がある
- 白黒の四角を使うのは、コンピュータにわかりやすくさせるため
- QRコードは「機能パターン」と「符号化領域」で出来上がっている
- 「機能パターン」は、「クワイエットゾーン」「位置検出パターン」「位置検出パターンの分離パターン」「タイミングパターン」「位置合わせパターン」の5種類
- 「符号化領域」は「形式情報」「型番情報」「データ領域」の3種類
- 「形式情報」は「エラー訂正レベル」と「マスクパターン参照子」で決まり、「\(4 \times 8=32\)」種類のパターンがある
- 「型番情報」は「QRコードのバージョンによって決まり、40種類ある
- 「データ領域」は「データ」と「エラー訂正情報」で出来上がる
- QRコードはバージョンが1〜40まである。一辺の大きさは、「QRコードのバージョン(1〜40)\( \times \)4\( + \)17」
- 「エラー訂正レベル」は「L(7%の汚れまで)」「M(15%の汚れまで)」「Q(25%の汚れまで)」「H(30%の汚れまで)」の4種類ある。
- 「エラー訂正レベル」が「L」だと「QRコード」で表現できるデータの量は最大で、「H」のときに最小になる。
- 「1bit」とは白・黒、1・0のような2種類の情報を表すことができる能力のことで、文字を増やすと「2bit(4種類)」「3bit(8種類)」と表現できる種類が増える
- 日常の言葉を「エンコード」して「コード(符号)」に置き換え、「コード(符号)」を「デコード」して日常の言葉に戻す
- QRコードの「エンコード」方式は「数字モード」「英数字モード」「漢字モード」「8bitモード」の4種類
- どの「エンコード」方式でも、データは「モード指示子」+「文字数指示子」+「データ」+「終端パターン」+「埋め草ビット」+「埋め草ワード」となる
- QRコードには「白」と「黒」を読み間違えても、元の情報を復元する「エラー訂正」能力が備わっている
- 「エラー訂正」は読み取れた(聞き取れた)言葉から最も近い「ありえそうな単語」を推測すること
- 「エラー訂正力が強い」ということは、「あえて使っていない単語が多い」ということと同じで、効率性は悪い
- 1,0でできている符号では「ハミング距離(2つの符号間で1と0が異なる箇所の個数)」があり、符号間で最も「ハミング距離」が小さいものを「最小距離」と呼ぶ
- 使える「単語」を制限すると「最小距離」は大きくなる
- 「最小距離」の半分までのエラーであれば訂正することができる
- 「単語」を「符号化」したものに、適当な「1」や「0」を後ろにつけると「最小距離」が大きい「エラー訂正機能付符号」になる
- 「エラー訂正機能付符号」を作る際は「符号」に「行列(生成行列)」を掛け算する。
- 「QRコード」は「リード・ソロモン符号」と呼ばれる方法で「エラー訂正機能付符号」を作る
- 「行列」は数字を並べただけのもので、もともとは「連立方程式」の係数だけ抜き取ってならべたもの
- 「行列」の「足し算」「引き算」は各「行列」の要素同士を「足し算」「引き算」したもの
- 「行列」の「掛け算」は、左の「行列」から「行」を取り出し、右の「行列」から「列」を取り出して、それぞれの要素を掛け算して足し合わせる
- 左の「行列」の大きさが「a行b列」で、右の「行列」の大きさが「b行c列」だった時、「掛け算」結果の行列は「a行c列」になる
- 「行列」の「掛け算」は順番を変えると結果も変わる
- 「掛け算」しても結果を変えない行列を「単位行列」と呼び、「掛け算」すると結果が「単位行列」になる行列を「逆行列」と呼ぶ
- 「行列」の特徴を表している「数字」を「行列式」と呼ぶ。「行列式」は「正方行列」だけが持っている
- 「並び替え」は「置換」によってい表すことができ、偶数回の「置換」でできる「並び替え」を「遇置換」、奇数回の「置換」でできる「並び替え」を「奇置換」という
- 「行列式」は各列から数字を選択し「掛け算」し、符号をつけた(「遇置換→(+)」「奇置換→(-)」たものを全ての選択パターンで足し合わせる。
- 「列」で計算しても、「行」で計算しても結果は同じ
- 「全てが0の列」、もしくは、「すべてが0の行」があれば「行列式」は「0」
- 「列」を入れ替えたら「行列式」の符号が変わる。「行」を入れ替えても「行列式」の符号が変わる。
- 全く同じ「行」が2個以上あれば「行列式」は「0」。全く同じ「列」が2個以上あっても「行列式」は「0」
- ある「行列」の「行列式」は、その「行列」の1つの「列」(もしくは「行」)を2つに分割して、2つの「行列」の「行列式」の「足し算」にすることができる
- ある「行」に違う「行」を「足し引き」しても、「行列式」の結果は変わらない。ある「列」に違う「列」を「足し引き」しても、「行列式」の結果は変わらない。
- ある「行(もしくは列)」を「定数倍」した「行列」の「行列式」は、「定数倍」する前の「行列」の「行列式」に定数をかけたものと同じ
- 2つの「行列」を「掛け算」した結果の「行列」の「行列式」と、それぞれの「行列」の「行列式」を「掛け算」した結果は同じ((\ \left| \mathb{A} \times \mathb{B} \right| = \left| \mathb{A} \right| \times \left| \mathb{B} \right| \))
連立方程式を思い出そう
さて、これまで永遠と「行列式」の特徴についてみてきましたが、結局「行列式」ってなんの意味があるのでしょうか?いまさら、そんな悲しいこと言うなよ・・・、という声が聞こえてきますが、安心してください。ちゃんと立派な意味があるんです!!
そこで、今回は、「行列式」と「連立方程式」の関係について解説しますね。
そもそも、中学校のころに習った「連立方程式」って覚えています?こんなやつです。
$$ \begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x + y = 10 \\ 2x + 4y = 32 \end{array} \right. \end{eqnarray} $$ ほろ苦い思い出とともに思い出しましたでしょうか?連立方程式の雰囲気とあわせて、方程式中にでてくる「\(x\)」や「\(y\)」のことを「未知数」と呼ぶことも思い出してください。
次に、この「連立方程式」の解き方(未知数「\(x\)」や「\(y\)」の値を求めること)を見ていきましょう。
「連立方程式」の解き方〜未知数が1つの場合〜
まず、「未知数が1つ」の場合を考えましょう。この場合、1つの式に着目して、未知数をすべて左辺に集約して、右辺を未知数がない状態にすれば未知数の正体がわかります。例えば、「\( 6x + 5 = x + 10 \)」という方程式があった場合、右辺の「\(x\)」を左辺に移項し、左辺の「\(5\)」を右辺に移項すると、「\(6x - x = 10 -5\)」となり、これはつまり、「\(5x = 5\)」ということなので、「\(x=1\)」ということがわかります。
このように、「未知数が1つ」の場合は「連立方程式が1つ」あれば未知数を求めることができます。
「連立方程式」の解き方〜未知数が2つの場合〜
では、未知数が2つある場合はどうすればよいでしょうか?結論から先にずばばん!と言ってしまうと、「連立方程式」は2つ必要なんです(ずばばん!!)。例えば、次の方程式を見てください。
$$ \begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x + y = 10 \\ 2x + 4y = 32 \end{array} \right. \end{eqnarray} $$ この方程式を解くには、1つ目の「連立方程式」の「\(y\)」を左辺に移項させて、「\(x=10-y\)」という形に持っていきます。
そして、2つ目の「連立方程式」の「\(x\)」に先ほどの「\(x=10-y\)」を代入すると、2つ目の方程式から「\(x\)」が消えて、「\(20 - 2y + 4y = 32\)」となります。
「\(20 - 2y + 4y = 32\)」は未知数が「\(y\)」の一つだけなので、「\(y\)」の値がわかります。(この場合、「\(y=6\)」ですね)
最後に、「\(y\)」の値を「\(x + y = 10\)」に代入してやれば、この方程式は未知数が「\(x\)」だけになって、これも、先ほどの解説の通り解けば「\(x\)」の値がわかり、めでたく解けることができます。(この場合、「\(x=4\)」ですね)
つまり、「未知数が2」つの場合、2つの「連立方程式」が必要なのでした。
「連立方程式」の解き方〜未知数が3つ以上の場合〜
直観の鋭い皆さまだったら、もうすでに予想されていることだとは思います。そう。未知数を求める場合、未知数の数と連立方程式の数は同じである必要があります。
なぜなら、未知数が2つの場合で見たように、1つの方程式を使って1つの変数を「消す」ことで最後の方程式の未知数を1つだけにする必要があるからです。
もし、未知数が5個あるのに、方程式が3つしかない場合、どんなに工夫しても1つの式の中に3つの未知数が残ってしまい、未知数の値を決めることができません。
(例えば、「\(x + y + z = 10\)」という方程式があった場合、「\(x=2,y=3,z=5\)」の場合もあれば、「\(x=4,y=4,z=2\)」の場合も考えられ(他にももっと考えられます)、答えが決まりません)
このように、未知数の数に方程式が足りない問題を「不良設定問題」と呼びます。
ふむふむ。えっ!?一体、いつ「行列式」の話がでてくるんだって?
忘れてました・・・。てへ。・・・ということで、次回に続きます!