独極・QRコード担当の「あじな」です。
いやー、専門的な話になってくると、だんだん1回の解説じゃ書ききれなくなりますね。「専門的な話」なので、長くなってしまうのもご勘弁ください。この際、私の説明が下手という点は棚にあげておきましょう。
そして、未知数の数に方程式が足りなくて、未知数を決めることができない問題を「不良設定問題」と呼びました。
おさらいは以上です!
$$ \begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x + y = 10 \\ 2x + 2y = 20 \end{array} \right. \end{eqnarray} $$ これまで解説したやり方に沿って、1つ目の方程式のyを左辺に移項させて、「\(x=10-y\)」という形に持っていきます。
そして、2つ目の方程式の「\(x\)」に先ほどの「\(x=10-y\)」を代入すると、2つ目の方程式から「\(x\)」が消えて、「\(20 - 2y + 2y = 20\)」となります。
あれ!?そうすると、結局「\(20 = 20\)」となってしまいました。そりゃそうだろ!って式になって「\(y\)」の値はわからなくなってしまいました・・・。無念!!
この問題は、2つ目の式が、1つ目の式を2倍にしただけの式だったので発生したのです。実は、「連立方程式」の未知数を求めるためには、他の方程式から導き出せるものには「価値がない」のです。
価値がない「連立方程式」とは、「他の式と全く同じ」「他の式を○倍にしただけ」「他の式を足し引きしたもの」等です。
そいういった価値がない式が混じった状態で、未知数と方程式の数が同じでも連立方程式を解くことはできません。
(そりゃ、確かに「\(x+y=10\)」という方程式があったときに、「やばい、未知数が2つなのに方程式が1つだから解くことができない!困ったなぁ・・・。そうだ!この方程式を2倍すればもう一つの方程式「\(2x+2y=20\)」ができあがるぞ!これで方程式を2つてに入れたから解ける!」というのは、むしがよすぎる話ですよね。。)
「行列」を初めて解説したとき(気づけば遠い昔ですね・・・)に、「行列」は「連立方程式」の「係数を抜き出したもの」という解説をしました。
例えば、
\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 3x+2y+3z=0 \\ 5x-10y+2z=0 \\ 2x-3y-4z=0 \end{array} \right. \end{eqnarray} この数式のx,y,zの係数だけ取り出すとこんな行列として書けます。
$$ \left( \begin{array}{ccc} 3 & 2 & 3\\ 5 & -10 & 2 \\ 2 & -3 & -4 \end{array} \right)\\ $$ さらに、、「行列式」の特徴として次のような特徴を解説してきました。
だって、例えば、3つの未知数があっても「連立方程式」が2個しかない場合というのは、3番目の「連立方程式」の未知数の係数がすべて「0」だと思えば、「行列式」の特徴の「「全てが0の列」、もしくは、「すべてが0の行」があれば「行列式」は「0」」が当てはまり、「行列式」の値は「0」になります。
また、もし、「連立方程式」の中に同じ方程式が2つ混じっていたとすると、その係数を抜き出した「行列」は、「全く同じ「行」が2個以上あれば「行列式」は「0」。全く同じ「列」が2個以上あっても「行列式」は「0」」という特徴から、「行列式」の値は「0」になります。
さらに、「連立方程式」の中に、他の方程式を組み合わせたものが混じっていたとすると、その係数を抜き出した「行列」では、他の「行」を組み合わせて、ある「行」から「引き算」すれば全ての要素が「0」となる「行」ができあがるはずです。
このとき、「ある「行」に違う「行」を「足し引き」しても、「行列式」の結果は変わらない。ある「列」に違う「列」を「足し引き」しても、「行列式」の結果は変わらない。」という特徴と、「「全てが0の列」、もしくは、「すべてが0の行」があれば「行列式」は「0」」という特徴を使えば、その「行列」の「行列式」は「0」であることがわかりますよね。
このように、「連立方程式」の係数を抜き出した「行列」の「行列式」の値が「0」になるということは、元の「連立方程式」が「不良設定問題」であることを表します。
(ただし、もし元の「連立方程式」に「未知数」よりも多くの「連立方程式」があった場合、「連立方程式」の1個ぐらい「質の悪い」ものが混ざっていても、「未知数」を求めることができる場合があります。そのため、厳密には、「行列式」の値が「0」になることが、そのまま「不良設定問題」になるとは限りません。このあたりの話は、「ランク」の解説をするときに少し触れますね。)
つまり、「行列式」の値が「0」の場合、「連立方程式」を解くことができないということがわかるのです。
「行列式」を計算する意味の一つは、「連立方程式」を解くことができるかどうかを判明させることにあるんですね。
いやー、専門的な話になってくると、だんだん1回の解説じゃ書ききれなくなりますね。「専門的な話」なので、長くなってしまうのもご勘弁ください。この際、私の説明が下手という点は棚にあげておきましょう。
これまでの復習 [表示する]
- QRコードは株式会社デンソーが作ったもので、スマホや携帯で読み取れる
- QRコードは「小さな白と黒の四角でできている」「多少汚れても大丈夫」という特徴がある
- 白黒の四角を使うのは、コンピュータにわかりやすくさせるため
- QRコードは「機能パターン」と「符号化領域」で出来上がっている
- 「機能パターン」は、「クワイエットゾーン」「位置検出パターン」「位置検出パターンの分離パターン」「タイミングパターン」「位置合わせパターン」の5種類
- 「符号化領域」は「形式情報」「型番情報」「データ領域」の3種類
- 「形式情報」は「エラー訂正レベル」と「マスクパターン参照子」で決まり、「\(4 \times 8=32\)」種類のパターンがある
- 「型番情報」は「QRコードのバージョンによって決まり、40種類ある
- 「データ領域」は「データ」と「エラー訂正情報」で出来上がる
- QRコードはバージョンが1〜40まである。一辺の大きさは、「QRコードのバージョン(1〜40)\( \times \)4\( + \)17」
- 「エラー訂正レベル」は「L(7%の汚れまで)」「M(15%の汚れまで)」「Q(25%の汚れまで)」「H(30%の汚れまで)」の4種類ある。
- 「エラー訂正レベル」が「L」だと「QRコード」で表現できるデータの量は最大で、「H」のときに最小になる。
- 「1bit」とは白・黒、1・0のような2種類の情報を表すことができる能力のことで、文字を増やすと「2bit(4種類)」「3bit(8種類)」と表現できる種類が増える
- 日常の言葉を「エンコード」して「コード(符号)」に置き換え、「コード(符号)」を「デコード」して日常の言葉に戻す
- QRコードの「エンコード」方式は「数字モード」「英数字モード」「漢字モード」「8bitモード」の4種類
- どの「エンコード」方式でも、データは「モード指示子」+「文字数指示子」+「データ」+「終端パターン」+「埋め草ビット」+「埋め草ワード」となる
- QRコードには「白」と「黒」を読み間違えても、元の情報を復元する「エラー訂正」能力が備わっている
- 「エラー訂正」は読み取れた(聞き取れた)言葉から最も近い「ありえそうな単語」を推測すること
- 「エラー訂正力が強い」ということは、「あえて使っていない単語が多い」ということと同じで、効率性は悪い
- 1,0でできている符号では「ハミング距離(2つの符号間で1と0が異なる箇所の個数)」があり、符号間で最も「ハミング距離」が小さいものを「最小距離」と呼ぶ
- 使える「単語」を制限すると「最小距離」は大きくなる
- 「最小距離」の半分までのエラーであれば訂正することができる
- 「単語」を「符号化」したものに、適当な「1」や「0」を後ろにつけると「最小距離」が大きい「エラー訂正機能付符号」になる
- 「エラー訂正機能付符号」を作る際は「符号」に「行列(生成行列)」を掛け算する。
- 「QRコード」は「リード・ソロモン符号」と呼ばれる方法で「エラー訂正機能付符号」を作る
- 「行列」は数字を並べただけのもので、もともとは「連立方程式」の係数だけ抜き取ってならべたもの
- 「行列」の「足し算」「引き算」は各「行列」の要素同士を「足し算」「引き算」したもの
- 「行列」の「掛け算」は、左の「行列」から「行」を取り出し、右の「行列」から「列」を取り出して、それぞれの要素を掛け算して足し合わせる
- 左の「行列」の大きさが「a行b列」で、右の「行列」の大きさが「b行c列」だった時、「掛け算」結果の行列は「a行c列」になる
- 「行列」の「掛け算」は順番を変えると結果も変わる
- 「掛け算」しても結果を変えない行列を「単位行列」と呼び、「掛け算」すると結果が「単位行列」になる行列を「逆行列」と呼ぶ
- 「行列」の特徴を表している「数字」を「行列式」と呼ぶ。「行列式」は「正方行列」だけが持っている
- 「並び替え」は「置換」によってい表すことができ、偶数回の「置換」でできる「並び替え」を「遇置換」、奇数回の「置換」でできる「並び替え」を「奇置換」という
- 「行列式」は各列から数字を選択し「掛け算」し、符号をつけた(「遇置換→(+)」「奇置換→(-)」たものを全ての選択パターンで足し合わせる。
- 「列」で計算しても、「行」で計算しても結果は同じ
- 「全てが0の列」、もしくは、「すべてが0の行」があれば「行列式」は「0」
- 「列」を入れ替えたら「行列式」の符号が変わる。「行」を入れ替えても「行列式」の符号が変わる。
- 全く同じ「行」が2個以上あれば「行列式」は「0」。全く同じ「列」が2個以上あっても「行列式」は「0」
- ある「行列」の「行列式」は、その「行列」の1つの「列」(もしくは「行」)を2つに分割して、2つの「行列」の「行列式」の「足し算」にすることができる
- ある「行」に違う「行」を「足し引き」しても、「行列式」の結果は変わらない。ある「列」に違う「列」を「足し引き」しても、「行列式」の結果は変わらない。
- ある「行(もしくは列)」を「定数倍」した「行列」の「行列式」は、「定数倍」する前の「行列」の「行列式」に定数をかけたものと同じ
- 2つの「行列」を「掛け算」した結果の「行列」の「行列式」と、それぞれの「行列」の「行列式」を「掛け算」した結果は同じ((\ \left| \mathb{A} \times \mathb{B} \right| = \left| \mathb{A} \right| \times \left| \mathb{B} \right| \))
前回のおさらい
未知数を求める場合、未知数の数と連立方程式の数は同じである必要がありました。そして、未知数の数に方程式が足りなくて、未知数を決めることができない問題を「不良設定問題」と呼びました。
おさらいは以上です!
「連立方程式」の数が足りてるのに解けないことがある!?
そうなんでよ、奥さん。まずは、次の方程式を解いてみてくださいな。$$ \begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x + y = 10 \\ 2x + 2y = 20 \end{array} \right. \end{eqnarray} $$ これまで解説したやり方に沿って、1つ目の方程式のyを左辺に移項させて、「\(x=10-y\)」という形に持っていきます。
そして、2つ目の方程式の「\(x\)」に先ほどの「\(x=10-y\)」を代入すると、2つ目の方程式から「\(x\)」が消えて、「\(20 - 2y + 2y = 20\)」となります。
あれ!?そうすると、結局「\(20 = 20\)」となってしまいました。そりゃそうだろ!って式になって「\(y\)」の値はわからなくなってしまいました・・・。無念!!
この問題は、2つ目の式が、1つ目の式を2倍にしただけの式だったので発生したのです。実は、「連立方程式」の未知数を求めるためには、他の方程式から導き出せるものには「価値がない」のです。
価値がない「連立方程式」とは、「他の式と全く同じ」「他の式を○倍にしただけ」「他の式を足し引きしたもの」等です。
そいういった価値がない式が混じった状態で、未知数と方程式の数が同じでも連立方程式を解くことはできません。
(そりゃ、確かに「\(x+y=10\)」という方程式があったときに、「やばい、未知数が2つなのに方程式が1つだから解くことができない!困ったなぁ・・・。そうだ!この方程式を2倍すればもう一つの方程式「\(2x+2y=20\)」ができあがるぞ!これで方程式を2つてに入れたから解ける!」というのは、むしがよすぎる話ですよね。。)
行列式と連立方程式が解けるかどうか
さぁ、ここからやっと「連立方程式」と「行列式」の関係のお話が始まりますよ!「行列」を初めて解説したとき(気づけば遠い昔ですね・・・)に、「行列」は「連立方程式」の「係数を抜き出したもの」という解説をしました。
例えば、
\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 3x+2y+3z=0 \\ 5x-10y+2z=0 \\ 2x-3y-4z=0 \end{array} \right. \end{eqnarray} この数式のx,y,zの係数だけ取り出すとこんな行列として書けます。
$$ \left( \begin{array}{ccc} 3 & 2 & 3\\ 5 & -10 & 2 \\ 2 & -3 & -4 \end{array} \right)\\ $$ さらに、、「行列式」の特徴として次のような特徴を解説してきました。
- 「全てが0の列」、もしくは、「すべてが0の行」があれば「行列式」は「0」
- 全く同じ「行」が2個以上あれば「行列式」は「0」。全く同じ「列」が2個以上あっても「行列式」は「0」
- ある「行」に違う「行」を「足し引き」しても、「行列式」の結果は変わらない。ある「列」に違う「列」を「足し引き」しても、「行列式」の結果は変わらない。
だって、例えば、3つの未知数があっても「連立方程式」が2個しかない場合というのは、3番目の「連立方程式」の未知数の係数がすべて「0」だと思えば、「行列式」の特徴の「「全てが0の列」、もしくは、「すべてが0の行」があれば「行列式」は「0」」が当てはまり、「行列式」の値は「0」になります。
また、もし、「連立方程式」の中に同じ方程式が2つ混じっていたとすると、その係数を抜き出した「行列」は、「全く同じ「行」が2個以上あれば「行列式」は「0」。全く同じ「列」が2個以上あっても「行列式」は「0」」という特徴から、「行列式」の値は「0」になります。
さらに、「連立方程式」の中に、他の方程式を組み合わせたものが混じっていたとすると、その係数を抜き出した「行列」では、他の「行」を組み合わせて、ある「行」から「引き算」すれば全ての要素が「0」となる「行」ができあがるはずです。
このとき、「ある「行」に違う「行」を「足し引き」しても、「行列式」の結果は変わらない。ある「列」に違う「列」を「足し引き」しても、「行列式」の結果は変わらない。」という特徴と、「「全てが0の列」、もしくは、「すべてが0の行」があれば「行列式」は「0」」という特徴を使えば、その「行列」の「行列式」は「0」であることがわかりますよね。
このように、「連立方程式」の係数を抜き出した「行列」の「行列式」の値が「0」になるということは、元の「連立方程式」が「不良設定問題」であることを表します。
(ただし、もし元の「連立方程式」に「未知数」よりも多くの「連立方程式」があった場合、「連立方程式」の1個ぐらい「質の悪い」ものが混ざっていても、「未知数」を求めることができる場合があります。そのため、厳密には、「行列式」の値が「0」になることが、そのまま「不良設定問題」になるとは限りません。このあたりの話は、「ランク」の解説をするときに少し触れますね。)
つまり、「行列式」の値が「0」の場合、「連立方程式」を解くことができないということがわかるのです。
「行列式」を計算する意味の一つは、「連立方程式」を解くことができるかどうかを判明させることにあるんですね。